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大分地方裁判所 平成3年(わ)21号 判決 1991年11月05日

本籍

大分県別府市大字鶴見二七四九番地の一二

住居

右同所

会社役員

吉岩規雄

昭和二七年一月二〇日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官増田保夫出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金二二〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、昭和五七年一一月八日ころから平成元年六月二二日まで大分市府内町一丁目三番地四号等において「住友キャッシュアンドクレジット」の名称で、昭和五九年三月一三日ころから同六二年九月三〇日ころまで同市中央町二丁目二番二四号において「キャッシュショップ富士」の名称で、同六一年三月三一日ころから同六三年一〇月一五日ころまで大分県別府市駅前本町二丁目八番地において「セントラル商事」の名称で、同六三年六月一六日ころから平成元年五月一日ころまで大分市府内町二丁目三番四号において「日掛融資の大栄大分店」の名称で、昭和六三年一〇月一一日ころから平成元年五月一日ころまで同県別府市駅前本町二丁目八番地において「日掛融資の大栄大分店」の名称で、それぞれ店舗を設け、金融業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、受取利息収入の一部を除外する等の方法により、その所得を秘匿した上

第一  昭和六一年分の実際総所得金額が九〇一五万〇七六四円であるにもかかわらず、同六二年三月一二日、大分県別府市光町二二番二五号所在の所轄別府税務署において、同税務署長に対し、同六一年分の総所得金額が一四五八万七〇三九円でこれに対する所得税額が三六四万二九〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分における正規の所得税額四九七五万六五〇〇円と右申告税額との差額四六一一万三六〇〇円を免れ

第二  昭和六三年分の実際総所得金額が六〇三〇万三二三八円であるにもかかわらず、平成元年三月一四日、前期別府税務署において、同税務署長に対し、同六三年分の総所得金額が一七一八万三五一四円でこれに対する所得税額が四三八万一二〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分における正規の所得税額二六二八万七六〇〇円と右申告税額との差額二一九〇万六四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官(三通)及び大蔵事務官(三二通)に対する各供述調書

一  國廣英一良(二通)、佐藤奈良喜(二通)、田中啓司、柴田好美、三河尻フミ(四通)、三河尻恒夫、河野啓子、佐藤政和(二通)、藤原政幸、賀来富彦、山縣基身、畑中博信(三通)、釘宮久美子、甲斐八千代、吉田良治こと鄭良治(二通)、工藤修治、日小田秀雄、財前國坦(二通)の大蔵事務官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の検査てん末署、売上金額(受取利息)調査書、「その他の収入調査書」、給料賃金調査書、減価償却費調査書、貸倒金調査書<2>、地代家賃調査書、利子割引料調査書、租税公課調査書、水道光熱費調査書、旅費交通費調査書、通信費調査書、広告宣伝費調査書、接待交際費調査書、損害保険料調査書、修繕費調査書、消耗品費調査書、福利厚生費調査書、車輛費調査書、情報料調査書、支払手数料調査書、協会費調査書、事務用品費調査書、雑費調査書、利子所得調査書及び雑所得調査書

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検察官証拠請求番号甲28)

一  押収してある六一年分の所得税の確定申告書(添付書類四枚を含む)一通(平成三年押第一二号の1)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(前同番号甲29)

一  押収してある六三年分の所得税の確定申告書(添付書類二枚を含む)一通(前同番号の2)

(法令の適用)

被告人の判示第一、第二の各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するので、いずれも所定の懲役と罰金を併科し、かつ各罪につき情状により同方二三八条二項を適用することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年及び罰金二二〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松野勉)

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